パワーパックをトランジスタ制御からPWM制御に改造

模型・ラジコン

皆さんゴールデンウィークは如何お過ごしでしょうか。朝から小雨の降る中ではありますが、今日は先日のリフォーム時に一部を解体したリビングの窓の下に貼られたタイルの修復作業が行われています。その作業の後は、土留めブロックにフェンス用の支柱を建てる作業に入りました。

毎日がゴールデンウィークの『たぬきおやじ』は時間が豊富にあるため、今日は鉄道模型用に使用しているパワーパックの改造作業を行ってみることにしました。

こちらが今回改造を行ったパワーパック内蔵のポイントコントローラーです。このコントーラーは畳1枚分のNゲージレイアウトを作り始めた2008年に自作したもので、その後、レイアウトの改造に伴って2018年に一部手直しを行っています。

レイアウト上にあるポイントを遠隔操作するために製作したものになるのですが、車両を走行させるための電源であるパワーパックも内蔵していて、こちらは自作品ではなくかなり古いKATO製のパワーパックから取り外した基盤やパーツを流用して組み立てたものになります。

昭和の時代に購入した古いパワーパックでしたので、車両の速度調整にはトランジスタ制御が使用されています。赤い丸印のところにある放熱板に固定されているのが制御用のトランジスタと温度が異常上昇した時に回路を遮断するための素子になります。

トランジスタ制御は、可変抵抗器によりベース電圧を調整することにより電車や機関車などの車両に印加される電圧を調整しているため、特に電圧が低くなる低速時にはレールとの接触不良などにより走行が不安定になったり途中で停止してしまうこともあります。

今ではKATO製のパワーパックもPWM(Pulse Width Modulation)制御が使用されており、PWM制御の場合、低速時でも車両に印加される電圧は同じで、出力されるパルスの幅で速度を調整していますので、発進時や停車前などの低速時に速度の微調整が可能になります。

以前からPWM制御に変更したい思いはあったのですが、回路を自作するとなるとそれなりに手間の掛かる作業になりますし、市販の組み立てキットを使ってもこのコントローラーの狭いスペースの中に取り付けるとなるといろいろ検討する必要があり、今日まで手が付けられないままでした。

先日、ある方の鉄道模型関連のブログにあったリンク先を見ていたところ、Amazonで200円程度で販売されているPWMモジュールを使ったパワーパックの製作記事を発見しました。
少し調べてみたところ紹介されていたものと同じような製品が安価で数多く販売されていることが分かりましたので、『たぬきおやじ』も早速それを購入して試してみることにしました。

こちらの写真は先程ご紹介したトランジスタ制御の基盤を取り外した状況になります。赤い丸印のところにある可変抵抗器とこの基板上にあるトランジスタなどが不要になります。

このトランジスタ制御の基盤や可変抵抗器などは、古いパワーパックの中にあったものをそのまま使用していますので、当然どのような回路になっているのかも良く分かっていないため、不要となるパーツや配線を特定するために、基板裏のパターンや配線を追いかけて手書きの回路図を書いてみました。

老眼の進行や昨年の眼の手術によって見え辛くなった状況の中で配線を追いかけながら書きましたので、かなり汚い回路図ですし、電子・電気関係の勉強をしたのはかなり昔のことで図記号も古いままではありますが、これで不要となる配線やパーツが明確になりました。

交流電源から直流に変換するダイオードブリッジの部分はそのまま活用しますので、トランジスタが固定されていた放熱板や速度調整用の可変抵抗器、不要となるリード線を撤去しました。

こちらは新たに使用するPWMモジュールを取り付けるために必要となる配線を整理した状況になります。PWMモジュールには電源からの入力端子と車両に搭載されたモーター側への出力端子がありますので、そこに接続が出来るように配線を行いました。

こちらの写真の赤い丸印のことろに見える赤色と黒色のリード線が電源側、緑色と黄色のリード線が出力側となっています。 

こちらが今回Amazonで購入したPWMモジュールになります。速度コントローラーやLED調光器といった名称で販売されています。

安い物だと1個200円程度のものもあれば、2~5個がセットになったものもあり、どれも見た目は同じような感じではありますが、カスタマーレビューを読んでいると不良品の率もそれなりにあるようでしたので、今回は2個で699円の製品を購入してみました。

また、中国や台湾から発送の商品も多くあり、その場合は到着までに1~2週間ほど要するとのことでしたので、すぐに使いたかったこともあり、今回は出荷元がAmazonのものを選びました。

基板上には3端子のスイッチング素子とダイオードや抵抗器、電解コンデンサなどのパーツが実装されています。左側の可変抵抗器には電源スイッチもあり、左端まで廻すと電源が切れます。

右端にある青いパーツが入出力の端子で、ここに先程ご紹介したリード線を接続して使用します。基盤の大きさは26ミリ×30ミリ、高さ方向は15ミリと非常にコンパクトですのでコントローラー内に問題なく収まりそうです。

こちらが基盤の裏側です。右端にある端子のうち下側が電源の接続箇所、上側が出力端子となっています。

このPWMモジュールに説明書類は添付されていませんが、電源電圧は4.5~35ボルトまで対応しているようです。今回は電源電圧14ボルトで使用しますので全く問題ありません。

こちらの写真がリード線の接続を終えてコントローラーに取り付けた状況になります。赤い丸印のところにあった可変抵抗器のスペースにそのまま設置出来ました。

コントローラー内にある他の基盤との干渉もありませんでしたし、取り付ける前の仮配線の状態で通電確認も行いましたが、特に問題は無さそうな感じでした。

この段階ではまだ試験走行までは出来ていなかったものの、通電試験では問題がありませんでしたので、万一ダメだった場合のことを考えて残してあったトランジスタも取り外しました。

トランジスタの過熱保護のためのガラス管に入った素子も撤去することが可能だと思われるのですが、そのまま残していても回路的に支障はないため残置しています。

こちらは低速での試験走行中にオシロスコープで出力波形を確認してみたものです。パルス波形の立ち上がりと立下りにスイッチングノイズがあるものの、とりあえず矩形波が出力されていて問題はないようです。

こちらは速度を少し上げた時の出力波形になります。先程の出力波形に比べるとパルス波形の横幅が大きくなっていることが分かります。出力を最大にすれば更に波形の横幅が広くなるものと思いますが、試験走行に使用している車両が異常な速度で走行してしまうため見送りました。

このモジュールの耐久性についてはまだ分かりませんが、今のところ特に問題なく走行していますし、発車時や停車時もかなり低速で運転が出来るようになりましたので、投資効果は十分にあったと思われます。万一壊れても非常に安価な製品ですので追加注文の負担も少ない感じです。

尚、Amazonのカスタマーレビューの中には、電源を接続して調整してみても出力電圧が全く変化せず、不良品だったという内容のものをいくつか見掛けました。先程ご紹介したように出力電圧をテスターなどで測定していても電圧は変化しませんし、また出力側にモーターなどを接続しないままでは出力の変化も確認出来ませんので、断言は出来ませんが確認方法等に問題があるのではないかと思います。試してみようと思う方はご注意ください。