LG製テレビリモコンの分解と決定ボタンの修理(詳細)

作業・修理

以前にLG製テレビのリモコン修理について簡単にご紹介をさせて頂きました。中央の決定ボタンが陥没してしまって押したままの状態になってしまったというものです。

多くの方が同様の不具合でお困りのようで、この内容をご紹介して以降、ご覧頂いている方が日々増加している状況です。

前回はあまり具体的な修理方法まではご紹介していませんでしたので、改めてLG製テレビリモコンの分解方法と陥没した決定ボタンの修理内容についてご紹介しておきたいと思います。

この内容を見て修理を実施される場合、お決まりの言葉で申し訳ありませんが、自己責任でお願いしたいと思います。

まず初めは分解の方法です。ネジ止めされている箇所はありませんので側面の隙間にプラスチック製のヘラなどを差し込んで前面と背面のつなぎ目を開いてやります。『たぬきおやじ』はエーモン製のパネルはがしを使用しました。車の内装を外す時などに使用するものです。

前面と背面は片側に6カ所ある爪で固定されています。左右どちらも同じ構造ですので開きやすい方から作業を進めると良いと思います。

尚、このリモコンはシルバーに塗装されていますので、マイナスドライバーやカッターナイフの刃などを使用してしまうと塗装が剥がれて傷が目立つため注意が必要です。

リモコンが分解出来たら決定ボタンの取り外し作業に入ります。赤い丸印の部分がホイールの回転を検出するためのロータリーエンコーダーになります。決定ボタン(ホイール)は青い矢印の方向に引っ張ると外れます。

決定ボタンが陥没してしまっている場合は、既にロータリーエンコーダーとの接続部分が破損していますので、そのまま外せば問題ありません。折れたパーツの行方だけ探しておきましょう。

決定ボタン(ホイール)を外した状態がこちらです。赤い丸印のところにある小さなパーツが決定ボタンを押した時に動作するスイッチです。

こちらの写真はロータリーエンコーダー側を拡大したものです。中央には六角形の穴があり、ここに決定ボタン(ホイール)側にある軸が入るようになっています。

こちらは前回ご紹介した写真を拡大したものです。赤い丸印のところにある六角形の軸部分が決定ボタン(ホイール)側と一体的に成形されていたと思われますが、何度もボタンを押している間に根元から折れてしまったようです。

強度のことを考えるのであれば、軸の部分だけ金属製にするなどの対応が必要だと思います。

残念ながら折れた軸の部分を接着剤などでつなぎ合わせることは強度的に難しいため、別の材料を使ってここに六角形の軸を新たに作ることにしました。

まずは決定ボタン(ホイール)の中央に軸を通すための穴を開ける必要がありますので、折れた軸とは反対側にある太い軸の方の穴を利用します。

前回ご紹介した時点で既に穴は開いてしまっていますので、この写真は作業イメージですが、1.5ミリ程度のドリルを使って穴を貫通させてやります。太い軸の方にある穴を利用すればホイールの中心に真っすぐに穴を開けることが可能です。

新たな軸の材料としてはタミヤのプラ角棒を使用しました。鉄道模型などに使っていたものです。
強度的には不安も残りますが、このプラ角棒は材質的にもある程度の柔軟性があり、ボタン操作による曲げ応力が繰り返されても簡単に折れてしまうことは無さそうな感じです。

ここからは少々手間の掛かる細かい作業が必要になります。まず初めに先程ドリルで開けた丸い穴をプラ角棒が刺せるように四角く加工してやります。

この写真にはイメージとして青い四角形を書いていますが、形が多少ズレていても全く問題ありませんので、カッターナイフの先端などを使って四隅に角を付けて行きます。

プラ角棒のサイズよりも僅かに小さ目の穴にしておいて、プラ角棒の先端を少し細くしてから差し込んだ方が上手く固定出来ると思います。残念ながらピンボケの写真しか撮れていませんが、軸が固定出来たらロータリーエンコーダー側の穴の深さに合わせて切断します。

続いては軸の加工になります。先程ご紹介したようにロータリーエンコーダー側の穴の形は六角形ですので、この形になるように軸を少しずつ削って行きます。

カッターナイフを使ってある程度の形になるまで削ったら、後は模型用のヤスリを使って形を整えて行きます。

削り過ぎてしまうとロータリーエンコーダーを回すことが出来なくなりますし、逆に太過ぎると穴に軸が入りませんので、何度か差し込んでみて太さを確認する必要があると思います。

写真はかなり拡大していますので穴や軸の形が良く見えるように感じるかもしれませんが、2ミリのプラ角棒を加工していますので、実際には形まで良く分からない状況で作業を行っており、決定ボタン(ホイール)を回転させた時にロータリーエンコーダー側も一緒に回ってくれれば問題はなく、あまり軸の形に拘らなくても大丈夫だと思います。

決定ボタン(ホイール)の動作に問題が無いようであれば、リモコンの前面と背面を元通りに嵌め込んで修理完了となります。

前回ご紹介した時にも書いた通り、元の軸の形状をプラ角棒から完全に再現することは出来ませんので、ボタンを押した時の感じが少し固くなったような印象ですが、陥没して使えない状態よりもはるかに良いと思いますので、修理に自信のある方は自己責任で試して頂ければと思います。