動かなくなったホールクロックの振り子を修理

作業・修理

最近は修理関係のネタが多くなっているように思いますが、今回は階段の近くに置いているホールクロック(置き時計)の振り子が今月初めくらいから動かなくなってしまいましたので、その修理を試みたいと思います。

このホールクロックは『たぬきおやじ』が結婚した昭和63年(1988年)に御祝いの品として頂いたものですので、今から37年も前のかなり古い製品になります。

機械式の時計ではありませんので、この振り子は電磁石で動いているだけなのですが、最近は動きに元気がなく左右の振り幅も狭くなってきていました。そしてついに動かなくなった感じです。

今から10年近く前にも同様の状況になったことがあり、その時は駆動部に使用されている永久磁石の磁力が弱まっていたことが原因でしたので、まずはその時と同じ処置を試みてみます。

文字盤の部分を開くと内部に振り子の駆動装置が取り付けられています。木目のカバーで覆われていますので、この写真の赤い丸印のところにある小さなネジを外してやります。

カバーを外すと真鍮製の駆動装置が見えます。まずは装置を固定している赤い丸印のネジを外してやります。このままだと乾電池からのリード線が基盤部分に繋がっていますので、基盤を固定している下側のネジも外して駆動装置と基盤部分を分離します。

先ほどのカバーのネジを含めて非常に小さなサイズですので、誤って落下させて無くさないようにマグネット付きのドライバーを使用する方が良いと思います。尚、この写真では駆動装置の左側にある乾電池を外していますが、リード線の接続先を良く確認してみたところ、この乾電池は時計の部分にある乾電池と並列接続されているだけで、振り子の駆動装置の電源は時計部分やスピーカーから時報のチャイムを鳴らすための電源と共用になっていました。ずっとこの乾電池が振り子用だと思い込んでいたということです。

では、10年ほど前に行った方法で修理を進めます。この写真の赤い丸印のところに振り子を動かすための永久磁石が取り付けられていますので、磁力を強めるために別の永久磁石をこの磁石の部分に接触させて一定方向に動かします。

ドライバーなども永久磁石を接触させて一定方向に何度も動かすことで磁化されますので、それと同じような感じで磁石を動かしてやりましょう。

磁力が強まったことが確認出来たら、次に振り子を動かすための機械部分、特に軸受けなどの可動部分に潤滑剤としてシリコーンスプレーを吹き掛けてやります。よくある556などの潤滑スプレーを誤って使用すると埃などが付着して動きが悪くなってしまうため注意が必要です。

ここまでの作業が終了したところで駆動装置の仮組みを行い、振り子も取り付けて動きを確認してみたところ、残念ながら以前のような状態には戻らず、手で動かしてやってもしばらくすると動作が止まってしまいます。振り子を外すと駆動装置は左右に動いているため電子回路自体は作動しているようなのですが、この長くて重い振り子を動かしてやるだけのパワーが無い感じです。

振り子が動作していなくても時計の方は問題なく動くのですが、このまま諦めてしまいたくはありませんでしたので、この小さな基板側に問題が無いかを調べてみることにしました。

永久磁石を動かすためのコイルの部分からリード線が4本出ており、S1、D2と書かれた端子と電源の+にそれぞれ接続されています。

このコイルの内部がどのように繋がっているのかは外側から分からないため、誤っている可能性はあるものの、プリント基板の裏面を追って配線図にしてみたのがこちらの写真です。いつもの下手な手書きの図面で申し訳ありませんが、トランジスタや抵抗、電解コンデンサの接続箇所に間違いは無いと思います。

この駆動回路の動作原理は良く分かりませんでしたが、電解コンデンサの充放電を利用してトランジスタでコイルへの電流を制御しているようだったので、とりあえず電解コンデンサを新品に換えて動作状況を確認してみたいと思います。

工具箱の中にある電解コンデンサの在庫を確認してみたのですが、もう少し容量の大きいものしか見当たりませんでしたので、基板上のパーツと同じ容量の製品をAmazonで購入しました。

どちらも使用するのは1個だけなのですが、22μFも10個入り0.22μFも10個入りで価格は490円でした。送料込みの価格でしたので支払額は合計980円になります。

残念ながら田舎では電子パーツが調達出来る店舗がありませんので、共立エレショップや秋月電子通商、マルツなどで購入しようと思ったのですが、0.22μFという電解コンデンサはどのショップにも在庫がありませんでした。

こちらの写真の左側が0.22μF、右側が22μFの電解コンデンサで、それぞれ基盤から外したものと新品を並べてみたものです。22μFの方は同じサイズですが、0.22μFの方は少々大きめでした。

こちらの写真が電解コンデンサの取り換えを終えた基盤になります。実はこの時点では気付いていなかったのですが、交換前よりも少々大きかった電解コンデンサは、駆動装置に取り付けると機械部分に干渉して振り子が動かないことが分かりましたので、改めて取り付け直しを行いました。

先ほどの基盤を駆動装置に取り付けたら、乾電池を入れて動作確認を行います。これで修理完了と思っていたのですが、残念ながら3~5分程したら振り子が止まってしまいました。

電解コンデンサの容量を調べる測定器は持っていないため正確な値は分からないものの、テスターを使って確認してみると古い方の電解コンデンサは容量が減っている感じでしたので、これが原因で間違い無いと思ったのですが、どうやら不具合箇所は他にありそうです。

基板上には電解コンデンサ以外に抵抗とトランジスタしか無く、抵抗についてはテスターで導通を確認しても問題は無いため、続いてトランジスタを交換してみることにしました。

最初に電解コンデンサを見て充放電を利用した回路だと思い込んでしまったのですが、回路図を良く見てみると充電や放電を繰り返す回路はなく、どうやらS1コイルを磁石が通過した時の起電力でトランジスタがオンになり、D2コイルに通電した電磁力で磁石を引き離し、トランジスタがオフになると戻ってきた磁石がまたS1コイルを通過してトランジスタをオンにするという動作を繰り返すことで振り子を左右に動かしているようです。

使用されているトランジスタは2SC945ですが、これと互換性があると考えられる2SC1815が3個残っていましたので、こちらを活用することにしました。このトランジスタは自作したドローンのLEDライトを制御するために随分前に購入したものの残りです。

トランジスタの交換が終わったところで改めて駆動装置に基盤の取り付けを行い、乾電池を入れて動作確認をしてみます。とりあえず振り子が無い状態では元気に動いているため電子回路としては問題が無いようです。

続いて振り子を取り付けて引き続き状態を確認します。動作を開始してから30分程度は動き続けていましたので、修理完了と判断して外してあったカバーも取り付けて元の状態に戻しました。

修理を終えたのは昨日の昼過ぎになりますが、今朝の時点でも振り子は元気に動き続けていましたので、これでまたしばらくは大丈夫なのではないでしょうか。今回は電解コンデンサの調達に時間を要したため修理に数日掛かりましたが、何とか動くようになってホッとしました。