この中古の軽トラックを購入したのは2021年8月のことになります。それ以降、積雪によってワイパーが破損したのと、昨年の秋頃にエアコンの効きが悪くなってガスの補充をしてもらった以外は特にトラブルもなくゴミの搬出作業などに日々活用しています。

今回は不具合と言うほどのものではないのですが、気温が下がる冬季になると車内で聞こえるようになる異音について、その発生源の調査と簡単な対策を行ってみましたので、作業の状況をご紹介させて頂きたいと思います。
この軽トラを購入した年の冬は特に気にならなかったのですが、翌年の冬頃から特に気温が低い朝などに乗車すると天井付近からビシッ、ビシッという異音が聞こえるようになりました。

異音というのは文字ではなかなか上手く表現が出来ないのですが、車体が傾いた時や小さな段差を乗り越えた時などに金属と何かが擦れるような音で、このビシッ、ビシッという表現が合っているのかも良く分かりません。
走行中に異音が聞こえる度に天井を押さえたりしてみたものの特に変化はなく、販売店の方に調査や修理をお願いするレベルのことでもないため、そのまま放置してきたのですが、やはりこの冬も気温が低い時に乗車すると異音が聞こえてきますので、発生源を追求してみることにしました。
車や人の飛び出しなどがない農道を走行しながら車内の各所を順に手で押さえます。異音が聞こえて来る天井付近からスタートしてフロントピラーやドアの内張りへと進み、続いてダッシュボードの赤い丸印の付近を押さえたところ、そこで異音が止まりました。

天井付近で発生していると思い込んでいたのですが、どうやらダッシュボードの中で発生した異音がフロントガラスや天井に反射して頭上からの音のように聞こえていただけのようです。
ダッシュボードを押さえていた手を離すと再び異音が聞こえ始めますので、何らかの異音発生源がこの辺りにあるのは間違いないようです。では、この先は異音の発生原因を調査して行きます。
まず初めに運転席の右前方、ブレーキフルードのリザーブタンクがある場所のカバーを外してやります。このカバーは上に引っ張れば簡単に外れます。続いてはその横にあるスピーカーを取り外しました。ここから中を見てみると、ダッシュボードを固定しているところが見えるのですが、手が中に入りませんので、メーターパネルの前面にあるカバーも外しました。このカバーは周囲の爪で固定されているだけですので手前に引っ張るだけで外れてきます。

これで中の状態がある程度は見えるようになったのですが、ダッシュボードを固定している箇所が原因だとすると、このままでは対策をすることが出来ませんので、ダッシュボード自体が動かせる状態になるまで分解を進めることにしました。
まずは運転席右側の下部にある小さなポケットを取り外します。赤い丸印のところにある樹脂製のクリップを最初に外すのですが、無理に引っ張ると破損しますので、中央にある小さなピンを手前に引っ張って引き抜く感じです。
このクリップが外れたら、後はポケットの部分に手を掛けて手前側に引っ張るとこのカバー全体が外れてきます。

先ほどのポケット部分のカバーを取り外した状態がこちらの写真です。この奥の赤い丸印のところにダッシュボードを固定しているネジが見えますので、10ミリのソケットレンチで外します。

ここから先は少々手間の掛かる作業になるのですが、邪魔になっているハンドルを運転席のシート側に倒したいと思います。ダッシュボードを動かすのにそこまで必要になるかは現時点では分からないのですが、ハンドルが無い方が作業が楽になるだろうという判断です。
まずはシャフトの部分を覆っているカバーを外して行きます。最初に外すのは下側のカバーを固定しているこの写真のネジです。プラスドライバーで緩めるだけです。

続いてはこの赤い丸印のところにあるネジを外します。ハンドルが真っ直ぐだとこのネジが見えませんので、右側に90度ほどハンドルを回してやります。
同じように左側にもネジがありますので、こちらも同様の方法で外します。このカバーを固定しているのはこの3本のネジだけですので、後は下側のカバーを下方に引っ張って外します。

この写真が下側のカバーを外したところです。このカバーは上下それぞれにある爪で固定されていますので、折らないように注意しながら上下を分割するように外しました。
続いてはステアリングシャフトをボディに固定しているボルトを外します。この赤い丸印の辺りにあるのですが、この角度からは良く見えませんので下に潜り込んで作業を進めます。

下から覗き込むとこんな感じですので、この赤い丸印のところにあるボルトを緩めて抜き取ってやります。ソケットレンチのサイズは12ミリだったと思います。
これでステアリングシャフトが外れると思っていたのですが、内部を良く確認してみたところ更に奥にナットのようなものが見えました。

こちらの写真の赤い丸印がそのナットになります。ここも外さないとダメなようですので、先ほどと同じサイズのソケットレンチを使って緩めて行きます。
このステアリングシャフトにはパワステ用のモーターなどが付いていて非常に重いため、ハンドル部分を手で支えながらゆっくりと手前にシャフト部分を倒します。尚、写真を撮り忘れていたのですが、シャフトの根元部分にある床面に樹脂製のカバーがありますので、破損を防ぐためにカバーを先に取り外しておいた方が良いと思います。

ハンドルが無くなったことで作業が楽に進められるようになりました。続いてこのメーターパネルを外します。どこを探してみても固定しているネジが見当たらず、最初は外し方に迷っていたのですが、思い切って手前に引っ張ってみたらそのまま外れてきました。
ネジで固定されている訳ではなく、前面に付いていたカバーなどと同様にメーターパネル側にある爪が挿し込んであるだけでした。

メーターパネルを外した状態がこちらの写真になります。この赤い丸印のところにダッシュボードを固定しているネジがありますので、ここもソケットレンチを使って外します。
この軽トラを購入した時に、見える部分については販売店側で掃除をしてくれていたものの、運転席や助手席のシートの下側や、センターコンソールの内側などにはかなりの量の埃や小さなゴミが溜まっていましたので、外せそうなパーツは全て取り外して裏側まで掃除をしたのですが、流石にこのメーターパネルの奥までは確認していませんでしたので、今回の作業に合わせて各部の清掃を行いました。異音が治らなくても作業をした価値はありそうです。

メーターパネルが外れてダッシュボードの内部が良く見えるようになりました。どうやらこの赤い丸印のところがダッシュボードをボディ側に固定している部分で、上から手で押さえた時に異音が止まった場所とも一致している感じです。
作業を始めた段階でスピーカーの穴から覗いてみた時はここの構造までは良く分からなかったのですが、どうやらダッシュボード側にあるコの字型のパーツがボディ側の鉄板を挟み込んでいるだけのようで、固定するための爪などは無い感じです。
ダッシュボードを手前に引っ張ってみると、コの字型のパーツとボディ側の鉄板との隙間が広がりますので、ここに振動を防止するためのスポンジテープを挟み込んでみることにしました。

ダッシュボードを完全に取り外してしまえば更に作業も楽になるとは思いますが、その分だけ元に戻す作業も大変になりますので、とりあえずオーディオを固定しているネジを外すことで運転席側だけもう少し手前に引っ張り出せるようにしました。
オーディオは左右の赤い丸印のところにあるネジで固定されています。本体は取り外す必要が無いのですが、このネジでダッシュボードも固定されていますので、外すことでダッシュボードが手前に引っ張り出しやすくなります。

対策に使用するのはこちらのスポンジテープまたは不織布のテープです。可能であれば厚めのスポンジテープを使用しますが、ダメな場合は不織布テープで代用です。

ここが異音の発生源だと特定出来た訳ではないのですが、周辺を見ても車体からの振動で音が出そうな箇所が見当たりませんので、とりあえずボディ側の鉄板とダッシュボードのコの字型のパーツとの間にスポンジテープを挟み込みました。
本当はもう少し右側に貼るつもりだったのですが、貼り付いたテープが上手く剥がれませんでしたので、とりあえず挟み込めていれば問題なしとしました。写真が暗くてどれがスポンジテープなのか分かり辛くて申し訳ありません。

後は分解したパーツを元の状態に戻して行きます。この写真はスピーカーの取り付けを終えたところになりますが、ネジで固定する箇所の下側に不織布テープが貼られており、劣化して剥がれそうになっていましたので、この機会に新しいものに貼り替えを行いました。
この日は朝の気温が低い時間帯に異音発生箇所の調査を行い、その後すぐに分解作業に入ったのですが、当初の予定よりも広範囲の分解になったため思っていた以上に時間を費やしてしまい、対策後の試運転はお昼前の時間帯になってしまいました。
一応、自宅周辺の道路を走行してみた感じでは異音は止まったようなのですが、気温もそれなりに上昇してからということで、翌朝に改めて試運転を行って確認することにしました。

そして翌日の朝のことです。この日は気温がマイナスになっており絶好の試運転日和ではあったのですが、フロントガラスが凍っていて溶かすのがなかなか大変でした。
寒さに震えながら農道を走行してみたところ、これまでとは少し違う感じの異音が同じような場所から聞こえてきます。昨日はあんなに頑張ったのに治っていないのかとガッカリしながらリザーブタンクがある場所のカバーを外して赤い丸印の辺りを手で押さえてみたら異音が止まりました。

リザーブタンクにつながっているホースだと思いますが、接続箇所に赤いビニルテープが巻かれてその上に黄色いスポンジテープが重ね貼りされています。
昨日の分解時にもこの状態にして、最後は元の位置に戻したのですが、ここでも走行中に軋むような音が発生してしまうようです。

どういう仕組みで音が発生しているのかは良く分かりませんでしたが、とりあえず古くなった赤いビニルテープと黄色いスポンジテープを剥がした後、再び不織布テープを巻いてダッシュボードへの固定箇所にはスポンジテープを挟み込みました。
この作業にはそれほど時間を要しませんでしたので、その後すぐに自宅周辺を走行してみたのですが、今のところ異音は止まっているような感じです。
今回の作業によって各部の分解方法を習得することが出来ましたので、再び異音が発生するような状況になれば、また分解作業を楽しみたいとは思いますが、寒い中での作業は辛いため、出来れば再発しないことを祈りたいものです。