TOTOサザナのサーモスタット混合水栓の水漏れ修理

作業・修理

ここ数ヶ月のことになりますが、浴室にあるシャワーを使用した後、確実に止めたつもりでいても翌朝にはカウンターの上に水が溜まっているという状況が度々発生するようになりました。

朝の時点で気付けば良いのですが、そのまま風呂の準備をする時間まで漏れたままの状態になっていることもあり、水量的には多くはないかもしれませんが無駄遣いになっている状況です。

こちらの写真は昨日の夕方時点のものですが、赤い丸印のところに水滴があり、床面も濡れた状態になっていました。確認してみるとシャワーヘッドから少しずつ水漏れしています。

こちらの写真はシャワーとカランからの出水を切り替えるためのハンドルになります。止水位置でのクリック感は確実にあるものの、ハンドルが以前よりも微妙に固くて水が確実に止る位置が曖昧になってきている印象です。

我が家の風呂はTOTOのサザナで、この水漏れが発生しているサーモスタット混合水栓はスッキリ棚水栓(W300)と呼ばれている製品です。2020年のリフォームから既に5年が経過し、そろそろ手入れが必要な時期が来ているのかと思います。

今回の症状から考えられるのは内部にある開閉バルブの不具合だと思われますので、まずは分解をして交換用パーツの必要性を判断したいと思います。分解に当たってはハンドルの取り外しが必要になりますので、赤い丸印のところのカバーを小さなマイナスドライバーを使って外します。

一般的な水栓であればそのまま分解作業に入れるのですが、この製品の場合は水栓を覆っている棚のパーツ(カバー)を先に外してやる必要があります。

まずは赤い丸印のところにあるお湯と水の止水栓をマイナスドライバーを使って閉めておきます。その後、中央にあるシャワーホースをスパナを使って取り外します。内部に残った水が出てきますので注意が必要です。

最後に青い丸印のところにあるネジを外せば下部のカバーを外すことが可能です。カバーは左右にある爪で固定されていますので、下に引っ張れば外れます。

この写真が下部のカバーが外れた状態です。今回の不具合とは関係がありませんが、分解した機会に赤い丸印のところにある六角のネジを緩めて外した後、内部に溜まっているゴミなどを取り除いておきます。掃除が終われば元の状態に戻しておきましょう。

こちらの写真は床面から裏側を覗き込んだ状況です。赤い丸印の位置に棚板(上部カバー)を固定しているネジがありますので、これを外してやります。

かなり見辛いため床面に寝転んだ状態の方が作業が楽かもしれませんが、ここまでの作業で床面が濡れている場合は注意が必要です。

先ほどのネジが外れたら棚板(上部カバー)を後方(壁側)に少しズラしてやると外れます。無理やり上に引っ張ると内部の爪が破損しますので必ずズラしてから外しましょう。

カバーを外した内部は想像していた以上に汚れが酷く、皆さんにお見せ出来るような状態ではありませんでしたので、広範囲の撮影は控えさせて頂きました。

続いては、このステンレス製のパーツと下部のカバーを取り外すために、赤い丸印のところにあるネジを全て外します。写真の上部にあるネジは座金付きのため間違えないようにします。尚、取扱説明書には修理を依頼する場合はカバー内にある品番を確認しましょうと書かれていますが、この青い丸印のところに貼られたシールが品番ですので、確認をユーザーに求めるのは少々無理がある造りではないかと思います。ちなみに品番はTBV04405Jでした。

では、カバーを外す方法が分かったところで、ハンドルを固定しているネジを外します。前もってハンドルのカバーは外してありますので、この赤い丸印のところのネジを緩めます。

この写真がハンドルを外した状態です。赤い丸印のところにある樹脂製のパーツは写真の右手方向に引っ張ってやれば抜けてきます。

写真はありませんが、反対側にある温度調節用のハンドルもこちらと同じような構造になっていますので、中央のネジを外してハンドルや樹脂製のパーツを抜いておきます。

尚、この後の作業で水栓の上面にあるステンレス製のパーツを外すのですが、青い丸印のところにあるネジで樹脂製のパーツが下側から固定されていますので、下部のカバーを外した後にこのネジも外してやる必要があります。パズル(知恵の輪?)のような構造のためパーツの向きをいろいろと変えながら何とか外すことが出来ました。外すのは右側だけで問題ありません。

ここまで分解が出来たら内部にある開閉バルブを取り外します。この赤い丸印の真鍮製のナットを大き目のモンキースパナかウォーターポンププライヤーを使って緩めます。

真鍮製のナットが外れたら、先ほどの写真に写っていた白い樹脂製のパーツを引っ張り出します。少し固いと思いますので、マイナスドライバーをテコのように使って外すと楽だと思います。

ペンチやプライヤーを使って無理に引っ張るとパーツを破損させる恐れがありますので、ゆっくりと少しずつ引き抜く感じです。

こちらの写真の赤い丸印のパーツが開閉バルブになります。この軸の部分を回転させることで左側の黒いパーツの部分で水が出る方向や水量が変わるようになっています。

この写真は反対側にある温度調節用のハンドルを外したところです。温度調節に関しては特に問題はありませんので、今回は内部の分解までは行いませんが、ここもかなり汚れていたため先ほどと同じように赤い丸印の真鍮製のナットだけ外して周囲の清掃を行いました。

内部のパーツを引き抜いてしまうとセンターで40℃になるように温度の調整をする必要が生じると思いますので、特に不具合が無ければ分解しない方が良いと思います。

では、今回のメイン作業となる開閉バルブの分解と点検を行います。嵌め込んであるだけの小さなパーツがありますので、誤って排水口に流れないように机の上で作業を行いました。

まず初めにこの写真の赤い丸印のところにあるEリングを小さなマイナスドライバーなどを使って外します。外れた瞬間に飛んでしまうことがあるため注意が必要です。

こちらの写真が各パーツを分解してみたところです。白い水垢のようなものが少々付着していたものの、ゴム製のパッキンやOリングについても破損や摩耗などは無く、現時点では交換までは不要と判断しましたので、清掃を行った後、ゴム製のパーツにシリコングリスを塗布し、元通りの状態に組み立てを行いました。水栓用のグリスは持っていませんでしたので、手抜きをしてラジコン用のもので代用しています。

この開閉バルブを交換する場合、TOTOのパーツショップで確認してみると、部品品番はTHF61で販売価格は6,600円だそうです。また、ハンドルブッシュや切替ストッパーを含んだものは品番がTHF62となっており、楽天市場などで購入しても7,000円前後の出費にはなりそうです。

今回のメインとなる開閉バルブの作業はパーツの破損などもなく短時間で終えることが出来たのですが、かなり大変だったのがカバー内部の清掃作業になります。使い始めてからそれなりの年月が過ぎていることもあり、ある程度の汚れは覚悟していたものの、先ほども書いた通り想像を遥かに超える状況で、このまま廃棄してしまいたいくらいのレベル感でした。

掃除用のスポンジや古い歯ブラシなどを活用しながら洗剤を使って順に洗って行くのですが、出てきた汚れで排水口が詰まってしまうほどの状況でした。専門業者に修理を依頼した場合、パーツの交換だけで清掃まではやってくれませんので、良い機会だったのではないでしょうか。

分解の方法や手順を事前に知っていた訳ではなく、各パーツの取り外し作業は手探り状態で進めましたので、開閉バルブを取り出すまでに50分~1時間くらいの時間を費やしたと思いますが、このカバー内部の清掃にはそれ以上の時間を要してしまい、今回の作業のメインは内部の清掃だったと言っても過言ではないという感じです。

ここからは綺麗になったパーツを分解した時とは逆の順序で組み立てて行きます。清掃を済ませた後ですので全体をお見せすることが出来るようになりました。

実は『たぬきおやじ』も一度失敗したのですが、先ほどご紹介した開閉バルブは挿入した時の位置に誤りがあってもそのまま組み立てることが可能でした。この写真の段階まで組み立てたところでお湯の止水栓を開けてみたことろ、カラン側からお湯が出たままになって止まりません。

どうやら開閉バルブを挿入した時に止水位置になっていなかったようです。全ての組み立てを終えてからではなかったため良かったものの、改めて分解作業と開閉バルブの位置の調整が必要になりました。仮組みをした時点での通水試験は必須のようです。

確認不足で後戻り作業が入ってしまいましたが、二度目の通水試験ではシャワー側、カラン側ともに問題はなく、止水位置にすれば確実にお湯や水が止まることを確認しました。

以前よりも微妙に固くなっていたハンドルもスムーズに動くようになりましたし、シャワーからの水漏れも止まりましたので、何とか無事に修理が完了したようです。開閉バルブの動きが固くなるとハンドルを動かした時の追従性が悪くなり、ハンドルは止水位置にあるのにバルブは微妙に開いているという状態になってしまうのではないでしょうか。この棚付きの水栓の場合、ハンドル位置を左右に広げるためにバルブを動かすための軸が長くなっていますので、影響を受けやすいのかもしれません。

修理を依頼した場合、開閉バルブを分解することはありませんので部品交換になりますし、部品代の他に技術料や訪問料が加算されるため数万円レベルの修理費なると思います。あくまで自己責任での作業ですし、元に戻せなくなった時のリスクもありますが、安く済ませたい場合はやってみる価値のある作業ではないでしょうか。尚、この情報を参考にして作業をされても『たぬきおやじ』は一切責任を負いませんのでご注意ください。