リビングのテレビに接続して使用しているAVアンプを購入したのは一昨年の秋のことになります。途中でセンタースピーカーの交換を行っているものの、サラウンドスピーカーやサブウーファーは接続せずにフロントのみの3chで使用してきました。
このAVアンプはエントリークラスの5.2ch仕様の製品ですが、購入した時点ではそれ以前に使っていた2.1ch仕様のホームシアターシステムが籠ったような音に聞こえるため、それが少しでも改善されれば良いと思っており、サラウンドスピーカーなどの追加までは考えていませんでした。

これまでの使用実績からフロントスピーカーのみでも低音は十分な印象ですのでサブウーファーの追加までは不要だと思っていますが、動画配信サービスを利用して映画などを視聴しているとリアにもスピーカーを設置してサラウンド効果を試してみたいという思いが高まります。
しかしながら、我が家のリビングはそれほど広くはありませんので、ソファの後方にスピーカーが置けるような余裕は全くありません。ソファの近くに置くとしても写真の赤い丸印の辺りしか無いような状況ですのでリアというよりもサイドという感じになってしまいます。
サイドであっても多少はサラウンド効果が期待出来るかもしれないと思い、当初はここにスタンドを置いてスピーカーを設置しようかとも考えたのですが、ソファの後ろの壁にスピーカーケーブルを通すことになればかなり手間を要する作業になりますし、ここにまたスピーカーを置くとなると家族の了解も必要になってきます。

フロントスピーカーだけでも家族からは邪魔者扱いをされていますので、サラウンドスピーカーの設置を一旦は諦めたのですが、何とかならないかと考えている中でソファの上の天井にスピーカーを設置するという案を思い付きました。
こちらの写真の赤い丸印の辺りに設置すれば家族から邪魔者扱いされることもありませんし、ここであればスピーカーケーブルの接続が天井裏で完結出来るため、壁の中を通すよりも作業としては楽だと思われます。その理由はこの壁が屋根の傾斜部分の先端にあるため天井裏には人が入り込むことが出来ないためですが、天井であれば開けた穴の方側からスピーカーケーブルを通してやれば人が入り込める高さが確保出来る場所まで何とか押し込めそうな感じです。
天井に貼り付けてあるマスキングテープは石膏ボードを固定している野縁と呼ばれる下地の位置とスピーカーを取り付けることが出来る場所を示したものです。天井に設置するスピーカーには吊り下げるタイプもありますが、見た目や向きの問題もありますので、今回は天井に埋め込むタイプのスピーカーを使ってみることにしました。尚、野縁の位置は洗面所(脱衣所)暖房機を設置した時にも活躍した下地センサーを使って調べました。

楽天市場やAmazonで天井埋め込みスピーカーを検索してみると非常に多くの製品がヒットするのですが、商業施設などの放送設備として使用される入力インピーダンスの高い製品は使用することが出来ませんし、YAMAHAやBOSE、JBLといった有名メーカーの製品はそれなりに高価です。
そのような状況の中、Amazonで上位に数多く表示されるのはPyleとHerdioというメーカーの製品です。どちらも何と読むのかは分かりませんが、Pyleはアメリカを代表するブランドだと書かれているもののカスタマーレビューに品質面を疑問視するものも多く、日本からのレビューはありませんでした。一方のHerdioも中国の製造ではありますが、日本からのレビューでも極端に悪いものはそれほどありませんでしたので、今回はHerdioのHCS418という製品を試してみたいと思います。

当初はAmazonで購入するつもりだったのですが、商品を見つけた時に表示されていた15%オフのクーポンがカスタマーレビューを確認している間に使用出来なくなっており、その翌日には価格も僅かですが上昇していました。そこで、Yahoo!オークションやメルカリに安価な出品が無いか確認してみたところ、メルカリで送料込み4,000円で販売されている商品を発見しました。
楽天市場やAmazonでも同様ですが、商品の説明欄に2個入り(ペア)だという記載がなく、二つ購入したら4個になってしまったとのことで、不要になった分を出品されていました。価格の違いは数百円ですので素直にAmazonで購入しても良かったのですが、新品未使用とのことでしたので問題は無いだろうという判断をしました。
スピーカーのサイズは約10センチ、外径は約16センチで取り付け穴は14.5センチです。最大出力は80ワット、インピーダンスは8オームで同軸の2Way構造です。周波数特性は60Hz~20kHzですが、カスタマーレビューを見ると低音はあまり期待出来ないようです。推奨用途にホームシアターと記載されていますのでサラウンド用にはピッタリではないでしょうか。

メルカリで購入したスピーカーが自宅に届くまでには数日ありましたので、その間にAVアンプ側にスピーカーケーブルを接続するための準備作業を先に進めることにしました。
こちらの写真は天井に埋め込むスピーカーとAVアンプとを接続するために必要な資材になります。右側に写っているのが新たにAmazonで購入した安価なスピーカーケーブルで、長さは15メートル分になります。価格は2,350円でした。被覆が厚くて銅線は思っていたよりも細い感じです。
ケーブルの隣は棒状端子と以前にも使用した未来工業の後付けはさみボックス、そして絶縁取付枠です。これらは地元にあるホームセンターで購入してきました。合計596円でした。左側に写っているコンセントプレートやテレホンガイド、バナナプラグは以前に使用していたもので、使わなくなってから工具箱の中で眠っていたものばかりです。

スピーカーは天井に取り付けるため、そのケーブルは天井裏からテレビボードの裏側まで引き込む必要があります。壁に穴を開けて先ほどご紹介した後付けはさみボックスを取り付けます。
まずは先ほども使用した下地センサーを使って柱の位置を調べて行きます。写真の上部に貼り付けているマスキングテープは柱のある位置です。昭和の時代に建てた木造建築ですので天井裏で確認してみると通し柱の太さが20センチあり、その両側に間柱が固定されていることから壁に穴が開けられない範囲が約30センチ(写真の左側にある2箇所のテープの間)あります。
既設のコンセントはその柱の左側に設置されているようですので、今回は同じ柱の右側辺りに穴を開けようと思っていたのですが、下地センサーで確認してみるとその10センチほど隣に更に間柱が見つかりましたので、そこからもう少し余裕を見て赤い丸印の位置に決定しました。

マスキングテープを貼って囲っている内側が取り付けるボックスのサイズになります。まずは四隅にドリルを使って穴を開けてやるのですが、この時点では内部がどうなっているのか分かりませんので、電源ケーブルなどがあっても大丈夫なように慎重にゆっくりと作業を進めます。

四隅に穴が開いたらそこを起点にして引廻し鋸を使って壁を切断します。ここはテレビを壁掛けにするために石膏ボードではなく合板が使用されているため切断には少々パワーが必要です。マルチツールやジグソーのような電動工具を使えば作業も簡単なのでしょうが、この程度であれば人力でも何とかなるものです。
この壁の向こう側は玄関で、靴を収納するための可動棚が設置されているため壁の厚みが薄いことは認識していたものの、ボックスを埋め込むだけの奥行きがあるか心配だったのですが、取り付けに支障は無さそうで、壁の中の電源ケーブルなどにも影響は無かったようです。

ここまでは何度も経験しているコンセントの増設工事などと同様ですが、今回はここに天井裏からスピーカーケーブルを通しますので、通線ワイヤーの先端に重りとしてモンキースパナを結び付けて天井裏から壁の内部にある隙間に少しずつ降ろして行きます。スパナが壁の中の下端に到達したことを確認したら、先ほど開けた穴から引っ張り出そうという作戦で作業を進めたものの、穴の中を覗いてみると手が届かない場所にスパナの先端が到着していました。
このままでは取り出せないため天井裏に上がって通線ワイヤーを引き上げようとしたところ何かに引っかかって動かなくなってしまいました。ワイヤーを引いても緩めても反応がありませんでしたので、以前にも使用したファイバースコープカメラを使って壁の内部を確認してみたところ、穴のすぐ上に引っ掛かっているモンキースパナを無事に発見し、壁の外に救出することが出来ました。
これでスピーカーケーブルを天井裏からAVアンプ側に迎えるための準備作業は終了です。続いては天井にスピーカーを取り付けてケーブルを通す作業へと進みます。

取り付けに必要な穴の直径は14.5センチで、そのサイズの型紙も付属しています。この型紙を天井に当てて周囲をペンでなぞっても良いのですが、今回は厚紙で作った簡易コンパスを使用して円を描きました。尚、穴の位置が野縁と重なるとスピーカーの取り付けが出来ないため、中心点を決める時は下地センサーでの確認に加え、天井に針を挿し込んで野縁が無いことを確かめました。
この穴開け作業にもホールソーやサークルカッターなどの工具があれば簡単なのですが、使用する機会がほとんど無いため購入には踏み切れませんので、壁に穴を開けた時と同じように引廻し鋸を使って人力で頑張りました。

天井に穴が開きましたのでスピーカーの取り付けを行う前にケーブルを穴から天井裏まで入線してやります。スピーカーケーブルだけでは柔らかくて方向が定まりませんので、ケーブルの先に車の配線作業などに使っている配線通しワイヤーをテープで貼り付けて、断熱材の隙間を狙って天井裏へと押し込みました。
天井裏に上がって確認した結果、断熱材の隙間に黄色い配線通しワイヤーの先端部分が見えましたので、と書きたかったところではあるのですが、残念なことに天井裏のどこを見渡しても配線通しワイヤーは見つからなかったため、照明器具を片手に野縁の位置を確認しながら慎重に歩いて捜索に向かいました。

天井裏での作業状況もご紹介したいところではありますが、天井の石膏ボードを踏み抜いたら大変なことになるため、作業に集中してしまい作業中の写真は撮れていません。撮れたとしても暗くて上手く写らなかったのではないかと思います。
こちらの写真のように天井に開けた穴からはスピーカーに接続するためのケーブルが出ている状況ですので、苦労の末に何とかAVアンプがある方の壁の上部までスピーカーケーブルを引き込むことが出来たということです。尚、ケーブルの先端には棒状端子を圧着してあります。

準備作業の段階で壁の中には既に通線ワイヤーが通っていますので、後は天井裏でワイヤーの先端にスピーカーケーブルを繋いでリビング側から引っ張ってやるだけです。
天井裏でスピーカーケーブルや通線ワイヤーが絡まないように整理を行い、ゆっくりとボックス側に引っ張ってみたところ、こちらの写真のように無事にテープを巻いた接続点が到達しました。

これで天井にスピーカーを設置するための準備が終わりましたので、先ほど開けた穴に取り付けて行きたいと思います。この写真はスピーカーの裏側です。左下の金色の端子がケーブルの接続箇所です。端子に電線を挟み込むタイプですのでケーブルの先端には棒状端子を使用しました。
天井に固定するのは周囲に3箇所ある青いパーツです。固定用のネジを締め付ける方向に回すことでクランプ部分が外側に飛び出して下がってくるようになっています。
最初は気付かなかったのですが、輸送中にクランプが動かないようにネジが締め付けてありましたので、スピーカーの取り付け作業を行う前には少し緩めて動くようにしてやる必要があります。

こちらの写真がスピーカーの取り付けを終えた状況です。ケーブルを接続したら穴にスピーカーを嵌め込んで、後は3箇所あるネジを締めて行くだけですので難しくはありません。強く締め過ぎると天井の石膏ボードを破損させるため注意が必要です。
スピーカーの位置はソファよりも出来るだけ後方にしたかったのですが、壁ギリギリにすると見た目が変な感じですのでこの程度の位置が限界かと思います。また左右の距離については、フロントスピーカーよりもそれぞれ外側に2センチずつ広くしています。
当初はフロントスピーカーと同じ距離にしようと考えていたのですが、穴を開ける場所を確認した結果、同じ距離だと穴が野縁の位置と重なることが分かりましたので、少しだけズラして対応しています。写真の左側のスピーカーは入隅の角にあるため、壁の反射など左右で音に違いが出るかもしれませんが、あまり細かいことは気にしないことにしておきます。

後は付属のスピーカーグリルを取り付ければ作業は終了です。このグリルは白く塗装された金属製でスピーカー側の周囲にはマグネットが埋め込まれているため、そのまま被せるだけで簡単に固定することが出来るようになっています。
高級感があるかと言われると微妙なところではありますが、変なロゴなども無くてシンプルな感じのデザインですので見た目はそれほど悪くないと思っています。

スピーカーの取り付けやケーブルの敷設作業が無事に終了したところで、最後に追加したボックスにテレホンガイドやコンセントプレートを取り付け、バナナプラグを接続したら作業終了です。
ボックスに取り付けるタイプのスピーカーターミナルがパナソニックから販売されているとのことで少し調べてみたのですが、Amazonで5,725円とかなり高価な商品でしたので、今回はテレホンガイドにケーブルを通しただけで済ませることにしました。テレビボードの裏側で見える場所でもありませんし、接続箇所が少ない方が損失も少なくて良いと思います。

とりあえず昨日の時点ではフロントスピーカーのみの3chの設定からサラウンドスピーカーを追加した5chに変更をしています。スピーカーからの距離などは適当に入力しただけですので、時間に余裕がある時に改めて調整作業を行いたいと思います。
ハリーポッターのブルーレイディスクを試しに短時間だけ視聴してみたところ、サラウンド効果と呼べるレベルかどうかはまだ分かりませんが、後方からも音が聞こえるだけで何となく以前よりも音が良くなったような印象でした。
家族としてはテレビのスピーカーは本体内蔵のもので十分だろうという思いが強く、スピーカーの設置場所がどこであっても邪魔者でしかないようで、追加したスピーカーを見た反応はあまり良くありませんでした。このサラウンドスピーカーを活用して映画などを楽しめる時間は限られるかもしれませんが、また一人になった時にでもコッソリと試してみたいと思います。