我が家ではエアコンの暖房も利用しているものの、真冬の朝などは部屋がすぐに温まる石油ファンヒーターが便利ですので、現在は4台のダイニチブルーヒーターが各部屋で活躍しています。
このダイニチのブルーヒーターは、他のメーカーの製品に比べると電気代が高くなると言われてはいますが、何と言っても着火が早いというのが一番のメリットではないでしょうか。

今回は『たぬきおやじ』の趣味の部屋で使用している小型のブルーヒーターの不具合修理についてご紹介したいと思います。ダイニチの製品では良くある不具合ですので、既にいろいろなところで修理方法が紹介されていますし、我が家でも別の機種で何度か経験している症状です。
こちらはFW-2515Sという型番のモデルで、製造年は2015年ですので10年ほど前に購入したものになります。これまでは特に不具合などもなく使い続けてきたのですが、最近になって燃焼状態が不安定になり、こちらの写真のように燃え方が強くなったり弱くなったりを数秒毎に繰り返す症状が現れるようになりました。
設定温度に対して室温の方が高くなったため、燃焼を弱めるように制御されているのだと思いますが、どうやらその制御機能に不具合があるようで、写真の右側のように消えそうな状態が数秒ほど続いたかと思うと、急に左側のように強い燃焼になるという状況です。

そして数日前の夕方のこと、ついにエラー表示が出て燃焼を停止してしまいました。エラー番号は「E09」で、右下には「ほこり」という表示が点滅しています。

こちらは燃料タンクの蓋の裏側にあるエラー表示と処置方法の一覧になります。「E09」というのは内部過熱で、処置方法としては燃焼・温風空気取入口(ファンフィルター)を掃除すると書かれています。
今回の「E09」や「E03」の燃焼中断、不完全燃焼の「E13」というエラー表示はそれなりの頻度で見掛けるものですが、燃焼系統の一部に何らかの不具合が生じている模様です。

センサーの検知としては内部過熱ということですので、温風用の空気が上手く取り込めていないために内部の温度が異常上昇したということになるのですが、背面にあるファンのフィルターを確認してみてもそれなりに綺麗な状態で、空気が取り込めていないという状況ではありません。

とりあえずフィルターの清掃を済ませた後、念のためにファンの内部も確認してみましたが、埃が少し溜まっているだけで、燃焼に不具合が生じるほどの状況ではありませんでした。
ということで、問題の箇所はこちらの吸気系ではなく、燃料系に何らかの不具合があるものと考えられますが、ダイニチに限らず、多いのは内部にある気化器の動作不良か燃焼室にある炎検知器の不具合だと思われます。

炎検知器の不具合は、センサー部分の表面にシリコンが付着することで絶縁被膜が出来てしまって燃焼状態が検知されなくなるというものですが、これまでの経験から炎検知器が不具合の時は燃焼が5~10分程度で止まってしまうことが多いため、恐らく気化器側の問題だと考えられます。
ということで前面のカバーを外して気化器の内部を点検してみることにしました。この機種の場合は下部にある2本のネジでカバーが固定されています。
既に10年も経過している機種ですのでメーカー保証の問題は関係ないものの、火気を使用する機器でもありますので、ここから先の作業はすべて自己責任ということになります。

前面のカバーを外した状態がこちらの写真になります。赤い丸印のところにあるのが気化器になりますので、まずは左端にある2本のネジを外してやります。
気化器を本体に固定しているのはこのネジだけですが、これ以外にも配管や配線を外す必要がありますので、この段階で取り外そうとしてはいけません。

続いては灯油の銅配管を外します。奥側にあるのが電磁ポンプから気化器に灯油を送り込むための配管で、手前にあるのは気化器のノズル(ニードル)が閉じている時に灯油をタンクに戻してやる配管になっています。
どちらも真鍮の袋ナットで固定されていますので、配管などを傷付けないよう注意しながらスパナを使って緩めてやります。工具が必要なのは最初だけで、後は手で緩めることが可能です。

配線については外さなくても作業が出来ない訳ではないのですが、気化器などの分解中に無理な力が掛かって破損しても困りますので、気化器から基盤側に接続されている各配線を引き抜きます。尚、コネクタには爪が付いているものもあるため、無理に引っ張らないように注意が必要です。

では、本体から取り外した気化器を分解して行きます。それほど複雑な構造ではないものの、向きなどを良く確認しておかないと組み立て時に戸惑いますので、写真を残しながら作業を進めます。尚、内部に残った灯油が漏れ出してきますので、キッチンペーパーを敷いて作業を行いました。
この写真の赤い丸印のことろにあるネジを外してやると気化器を覆っている金属製のカバーやソレノイド(電磁石)を取り外すことが出来ます。特にカバーは外し辛いので注意します。

こちらの写真が金属製のカバーを外したところです。ここまで来れば後はソレノイドを右側に手で引き抜くだけです。銅配管や配線の付け根部分は弱いため強い力を加えないようにしましょう。

これで気化器部分の分解が出来るようになりました。今回の作業はこの赤い丸印の箇所の内部清掃になります。右側にあるネジが切られたパーツを引っ張ることで筒の中からニードルやスプリングなどが出てきます。ネジが切られたパーツはOリングが入っているだけで固定はされていません。
硬い場合はプライヤーなどで回しながらゆっくりと引っ張ってやると抜けてくると思います。勢い余って中のパーツを飛ばしたりしないように注意しながら作業を進めます。

ここまでで分解作業としては終了です。気化器の内部にあるパーツは向きや順番が決まっていますので、この写真のように順に並べておくと組み立て時に迷うこともないと思います。
今回の主な清掃箇所は赤い丸印の二箇所です。どちらからでも問題はありませんが、まずは手前にあるノズルの内部に溜まったスラッジやタールを取り除きます。
写真の左側の先端がノズルで中心には小さな穴が開いており、そこから燃焼室内にあるバーナーに灯油が噴射されますので、この穴と筒状部分の内部を綿棒や竹串を使って掃除しました。尚、これだけでは綺麗になりませんでしたので、最後はパーツクリーナで洗浄を行いました。

続いてはニードルの清掃です。この写真のようにタールやスラッジ(灯油内の異物などが炭化したもの)が付着しており真っ黒になっていました。
ティッシュペーパーなどで拭き取ってやれば簡単に取れそうに見えるのですが、かなりシッカリと焼き付いてしまっていますので、それほど容易な作業ではありません。

こちらの写真が清掃後のニードルになります。表面に付着していたものが綺麗に取れてピカピカになりました。以前はサンドペーパーなどで磨いて取り除いていたのですが、今回はネット上で紹介されていた方法を参考にして除去作業を行ってみました。

その方法はガスバーナーを使ってニードルに付着しているものを焼いてしまおうというものです。今回はカセットコンロ用のガスボンベを使ってみましたが、ニードル部分にバーナーの炎を近付けるだけで炭化した付着物(カーボン)が焼け落ちて勝手に飛んで行ってくれます。
周辺に焼けた付着物が飛散するため、この作業は必ず屋外の燃えやすいものがない場所で行う必要がありますが、サンドペーパーで磨いていた時はなかなか取れなかったものが簡単に綺麗になってしまいますので、もっと早くこの方法を知っていれば良かったと後悔しています。
清掃が終了したら分解した時とは逆の順番で各パーツを組み立てます。特にニードルやスプリングの向きと順番には注意が必要です。銅配管の袋ナットの締め付けも確実に行いました。

気化器を取り付けて配線を元通りに接続したところで、前面カバーを元に戻してしまう前に試運転を行ってみました。燃焼室は高温になりますし、内部に触れないように注意しましょう。
ノズル部分の清掃時に少量のパーツクリーナーを使用しましたので、点火の時に白い煙が少し出たものの着火に問題は無く、以降、しばらくそのまま様子を見ていても燃焼状態は安定しているようですし、今のところエラー表示も出ていませんので、不具合は解消したのではないでしょうか。
ニードル部分に付着物があると、灯油の通りも悪くなりますし、どうしても動きが固くなってしまうため、ソレノイド(電磁石)で位置を制御しようとしても上手く動かなくなり、燃焼状態が安定しなかったのではないかと思います。購入からそれなりの年数が経過しており、買い替えが必要な時期かもしれませんが、これでもうしばらくは頑張ってもらえそうな感じです。今日からまた最強寒波だと言われていますので、精一杯活躍してもらいましょう。